読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

こどものあそび観察日記

こどもの充実した時間とはなんぞや!?

通り過ぎてきたまちを振り返り、忘れてしまった記憶をたぐりよせる/映画「君の名は」レビュー

8月に公開された「君の名は」

夫に、「お前は見に行った方がいい」

と散々言われながら、いろいろ言い訳をつけて逃げてきました。映像は美しいのは分かるけれど、若い人が見るものじゃないのか?という偏見が強すぎてあまりピンときませんでした。

けれど、夫があまりに言うので仕方なく映画館に足を運ぶと、懐かしい言葉の数々、幼い頃の記憶、初めて働き始めた時の気持ちが蘇ってきました。

映画に登場する”三葉”の住む「糸守町」の湖の景色は私の親戚が住んでいた場所、学校や森の風景は幼い頃の自分の育った町、しゃべっている言葉は祖母の方言でした。飛騨は結構広いので、方言も地方によって微妙に異なります。三葉のしゃべる方言は私の住む地方とは異なる祖母の地域そのものでした。後から調べてみるとモデルとなった市と私が育った町や親戚の住む場所は若干異なるものですが、記憶に残る町の様子がそのまま映像にされているようでした。

さらに、もう一人の主人公である”瀧”の住む東京の風景は、初めて自分が就職した先でよく見た風景でしたし、結婚前に夫と歩いた場所も数多く登場したので映画を観ながら懐かしい気持ちでいっぱいでした。そして、瀧のアルバイト先を見て目を疑いました。夫と付き合い始めたばかりの頃、何度か訪れた二人のお気に入りのレストランがそのお店だったのです。あまりの偶然に驚くしかありませんでした。

夫が強くしつこく「お前は見に行った方がいい」という意味がよーく分かりました。

新海誠監督によると、「どこかで見たような風景を描いた」と説明されているので私のひとりよがりかもしれません。でも、美しい風景にのせて繰り広げられる物語は、映画館で見ている時間を幸せなものにしてくれました。

観客の様子からこの作品のすばらしさを感じる

景色のことばかり書いていても何なので、来場した観客の様子からこの映画のすばらしさについて書いてみたいと思います。

私が行った映画館は都内のファミリー層がたくさん来る大型ショッピングモールに併設されている場所でした。冬休みということもあって、子連れで見に来ている家族が多かったです。中高生だけでなく、小学生も多かったですね。私の隣に座っていた小学校高学年くらいの男子はRADWINPSを劇中で歌っていました。歌うたびにお母さんに怒られていましたが、見た目スポーツ少年っぽい普通の子が口ずさんでいるというのは、学校でも話題になっているのかな~と想像してしまいました。さらに、60代の女性のグループがいたり熟年夫婦で来館している姿も見られました。一番驚いたのは80近いんじゃないか?と思うようなおばあちゃんが杖をつきながら見に来ていたこと。あのおばあちゃんはこの映画をどう感じたんだろう。

今は子育てに精一杯で映画館で映画を観る機会はぐっと減りましたが、子どもが生まれる前は1ヶ月に一本くらいは見ていたので映画館の雰囲気は分かります。こんなに、老若男女問わず映画館に足を運ぶ映画は久しぶりです。そりゃ観客動員数「千と千尋の神隠し」に迫る勢いということもよくわかります。

このような映画館でしたが、終わった時に鳥肌が立ちました。最後のエンドロールが終わるまで誰も席を立たないのです。普通、ファミリー層が多い映画は最後のエンドロールで小さい子がもたなくて本編が終わったらすぐに席を立つことが多いのですが、誰も立ち上がらない。特に、映像がないクレジットだけが並ぶエンドロールはつまらない。これだけ老若男女が集まるシアターなら、途中退出する方がいても良さそうなものですが誰もいない。途中でトイレに我慢できない方は何人かいましたが、みんな最後まで音楽を聴いて余韻に浸っていたようです。明かりがついて初めて一斉にみんなが立ち上がった時、ああ~この映画はヒットすべくしてヒットした映画なんだな~と思いました。

一晩寝てストーリーを振り返ると、突っ込みたいところやある種のモヤモヤがあることにも気づかされます。10代が見る映画だと直感的に思った私の判断もあながち間違っていなかったと思いますが、映画を観ている間はもっと続いてほしいの思う幸せな時間でした。家じゃなくてちゃんと大きな画面と素晴らしい音響でこの映画を観ることができたのは幸せです。最初はしぶしぶでしたが、行って良かった。映画館で見ることができて本当に良かったと思います。

惜しむらくは、娘がこの映画を観るほどの年齢に達していなかったこと。この映画が公開された2016年に高校生だった方々が羨ましい。

スポンサーリンク

 

 

糸守町を見て思いだす景色

最後に、糸守町を見て思いだす私の幼い頃の記憶について書いてみたいと思います。

モデルになった市が取り上げられていますし、糸守町の湖は中央道長野方面のものだといわれていますが、私がこの映画を観て思いだされるのが、ダムのある町です。親戚が住んでいたダムの周辺にある集落の雰囲気が懐かしい記憶としてよみがえりました。確かに湖の形は長野県のそれですが、”三葉”を取り巻く人々の生活の様子は自分が幼い頃に遊んだダムのある”あのあたりのまち”の雰囲気によく似ています。(雰囲気が似ているだけでそこがモデルになった確証は全然ありませんので地名はあえて伏せさせていただきます。その場所によく行ったのは小さい頃なので記憶も曖昧です。)

飛騨にはダムがたくさんありますが、電車から見えるものもいくつかありますので高山本線ではぜひ景色をご覧ください。夕暮れ時のダムは絶景ですよ。朝・夕のうっすら霧のようなものが現れる景色も神秘的です。映画とは関係なくほれぼれします。ちなみに、映画に登場するような発電所もあるので「君の名は」が好きな方にはたまらないかと思います。正式にここの風景がモデルということが何かに明記されているわけではなく全くの私の思い込みですが。もし、ワイドビュー飛騨に乗る機会がありましたらぜひご覧ください。

また、口噛み酒を収めるご神体がある、すり鉢状の場所。あれは、御嶽山にある火山湖「二ノ池」や「賽(さい)の河原」を思いだします。実際には、かなり違うのですが、そう感じてしまいます。”三葉”のおばあちゃん”一葉”の「ここからは現実の世界ではない」と言う同じ説明を御嶽山に登山し「賽の河原」にたどり着いたときに聞かされました。自分が思い浮かぶイメージと、最後に”瀧”と”三葉”が出会う神秘的な風景が重なってしまうのです。先ほど書いたように、監督は「どこにでもある風景」と感じられるように作っていることを思えば、どこがモデルになっているということを考えるのは野暮かもしれません。でも、2014年に御嶽山が噴火した記憶などを重ねるといろいろ考えてしまいます。実際に糸守町はないはずなのに、思わず記憶の中から探してしまいたくなります。

最後にお願いです。どうか、この記事を読んでその場所に行こうなんて思わないでください。私の勝手な思い込みで、何も検証していません。ただ、映画を観て自分の育った町を思いだし、感傷に一人で浸っているだけです。この映画は主人公の”瀧”のように、自分が感じた糸守町を探したくなるような魅力があると思いました。

***

子どものことをメインに書いていてそれ以外は書くものかと、心に誓ったのですが、、、それを破ってしまった。酔っぱらった勢いで書いてしまった。公開しようか下書きのままにしようか、迷ってたけれど、、、えーーい公開してしまえ~。

*このブログのタイトルや趣旨とは全然違うエントリーなので、はてブより、スターやコメント欄の記述の方が嬉しいでです。