娘は遊具で遊ぶことが苦手です。公園に行けば、砂でおえかきしたり、枝を拾って魔女ごっこをするような子です。
幼稚園に行くようになり、その差は歴然。最初から分かっていたことですが、あまりにもできなくて、がっくり肩を落として帰る日が多いものです。
そんなある日、図書館でフラーっと本棚を見ていたら、思わず目にとまったこの本。
手にとって、パラパラとめくってみると、
これは!
今まで私が悩んでいた答えがここにある!
思わず、
「これだ!!」
と大きな声で叫びたくなりました。
その本とは
(画像はAmazonのサイトにリンクしています)
第10回キッズデザイン賞(2016年)
子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門 奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)
を受賞されています。
この本の、何がすごいと思ったのか、だらだら書いてみたいと思います。
遊具の「?」が解決された
初めて公園に行くようになった頃、どの遊具がどれくらいの年齢で遊べるか全くわかりませんでした。ついつい危ないからそれは「やっちゃだめ~」なんて制御していたように思います。
もちろん、身長や本人の体力によりますが、大まかな年齢でこんなことができるということがイラスト入りできっちり紹介されています。
例えば、
2,3歳からできる鉄棒の簡単な技の紹介
1,2歳からのガードがない普通のブランコで遊ぶ方法
8ヶ月からのすべり台で遊ぶ方法
知らなかった~。鉄棒なんて幼稚園に入ってからでいいと思っていました。2歳からでも遊べるなんて目からうろこです。この本に2歳の時に出会いたかった。
遊具で身につく12の力
あまり、意識したことがなかったので、興味深く読んでしまいました。簡潔にまとまっているのでさらっと読めます。(こちらで引用する内容はすべてp9より)
遊具で身につく12の力
筋力 瞬発力 持久力 協応性 バランス感覚 すばやさ 器用さ
柔軟性 リズム感 スピード感覚 身体認識力 空間認知力
特に、面白いと思ったのが
協応性
からだの2つ以上の部位の運動を、ひとつのまとまった運動にする力
これが娘は苦手なんだと初めて分かりました。
また、
身体認識力
自分のからだがどのように動き、どのような姿勢になっているかを見極める力
空間認知能力
自分のからだと、からだを取り巻く空間について知り、位置関係を理解する力
娘は、これらの力も得意ではなさそうです。
そんな力を育てるためにはどうすればよいか、遊具を使った遊び方が解説されています。それが、本当に分かりやすい。
遊具の「遊んでエクササイズコーナー」が秀逸
この本では16の遊具が掲載されています。一つの遊具につきいろんな遊び方を「遊んでエクササイズコーナー」で紹介しています。それが、めちゃめちゃ分かりやすい。写真ではなくてイラストなんですが、かわいいデザインなのに体の動きが正確で見やすいです。先ほど述べたように、どの遊具を使ってどんな遊びをすると、どんな力がつくのかが紹介されているので、娘の苦手そうな動きを試してみたくなります。
イラストが大好き
この本は、半分以上子どもの動きを表したイラストでできています。
かなりの枚数ですよ。多分一人で描いたと思うんですが、圧巻です。普通のイラストじゃないの?と思う方もいると思いますが、これだけいろんな角度から正確に人の体の動きをかわいく描けるなんてなかなできることではありません。相当うまい方なんだな~と思います。この量のイラストだったら何人かで手分けすることだってあるかもしれないのに、一人の方が全部描くことで統一感があり私は大好きです。
こちらのイラストを描かれた方は
medb(メイヴ)さん profile
電子絵本なども描いていらっしゃいますが、大好きな絵です。
これからぜひ活躍していただきたいです。
おわりに
公園遊具で体を動かすのが苦手な娘にどうやって遊ばせたらいいのか全然分からないまま時間だけが過ぎてしまいました。この本を2歳の時に手に入れていれば、今頃体を動かすことが好きな子になったかな~。なんて思います。読み物というより、ハンドブックのような体裁なので、軽く読めるのも嬉しいです。
最後に、この本のカバーに書いてあった言葉を引用します。
じつは、誰もが利用できる公園遊具は、安全に楽しく子どもたちの体力をのばすことができる、とてもすぐれたツールなのです。
分かっていることですがこうやって専門家の方が言葉にすると、公園にもっと連れて行ってあげようという気分になります。
図書館で本を見つけたあと、自分で購入してしまいました。書店のスタッフの皆さん分かりやすいところに平積みしてください。
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おまけ
この本がとても面白かったので、著者や編者の方を調べてみたらいろんな発見があったので紹介します。
編者:プレイデザインラボ
子どもの遊びを科学や教育的な面から分析し、あそびの環境を考えるために発足。各分野の専門家を迎えて、株式会社ジャクエツが運営する。
(あそぶだけ! 公園遊具で子どもの体力がグングンのびる! プロフィールより)
遊具を開発したり、今回の本のように、子どもや保護者・教育関係者に届けたい遊びの方法を企画している会社です。
メンバーを見てびっくり。超豪華です。名前は知らなくても作品を知っている方は多いんじゃないでしょうか。
■五十嵐久枝 インテリアデザイナー / 武蔵野美術大学教授
代表作:tangoチェスト tsumori chisatoのショップデザイン
tangoチェスト 家具デザイン好きの方なら一度は見たことがあると思います。
チェスト [タンゴ チェスト120] | 受賞対象一覧 | Good Design Award
■佐々木正人 東京大学大学院教育学研究科教授(情報学環教授兼任)
主な著書:
佐々木正人さんといったら、アフォーダンス 。この方が参加していることを知り、さらにこの研究所に興味がわいてきました。アフォーダンス、これがすごく面白いのです。一時期、このアフォーダンスの理論と子どもの造形について考えていたことがありました。アフォーダンスの考え方を取り入れた活動内容にすれば、大人からの指示語なしで子どもがおのずと自分の活動を主体的に行えるんじゃないか?という仮説をもとにいろいろ試していました。つまり、場の設定と材料だけで子どもを動かすしかけを作るという取り組みです。
■澄川伸一 プロダクトデザイナー / 大阪芸術大学客員教授
代表作:リオ五輪の卓球台
■深澤直人 プロダクトデザイナー /多摩美術大学教授
あの、スタイリッシュなデザインの懐かしいガラケーです。ちなみに、最近ではトランスフォームできるタイプの作品が出来上がったようです。これもすごい。こちらのデザインは違う方のお仕事だと思いますが、それだけ、INFORBER時を超えて愛された証拠ですね。
■前橋明/医学博士 早稲田大学人間科学学術院教授
主な著書:あそぶだけ! 公園遊具で子どもの体力がグングンのびる!
今回ご紹介した本の著者です。
他にも、乳幼児の保健・体育に関する専門的な本をたくさん執筆されています。
子どもの疲労と体温との関連・乳幼児の生活リズム・保護者の育児疲労と育児支援について、主に研究しています。そして、研究で得た知見を児童福祉や保育、教育に応用し、アジアの子どもたちの健全育成について検討するとともに、子どもたちの抱える健康福祉上の諸問題に対処するため、幼少児の健康・生活実態調査をアジア地域で展開しています。
今度図書館に行ったら別の本も借りてみよう。
プレイデザインラボ これからもチェックしていきたいと思います。
ジャクエツ
1916年創業。「こどもの環境の未来をつくる」をスローガンに、全国の幼稚園・保育園に向け、安心安全で高品質なオリジナル教材・教具の開発、製造、販売を行っている。
(あそぶだけ! 公園遊具で子どもの体力がグングンのびる! プロフィールより)
娘がすべり台を上手にできないころ、遊具を販売している会社をよく見ていました。その時に出会った会社の一つでした。すっかり忘れていました。どうして、遊具を作っている会社のHPってこんなに魅力的なんでしょう。やっぱり私は遊具のデザインを見るのが好きなんだな~と改めて思いました。そして、遊具を作る会社はみんな子どもの遊びに対してものすごく真剣に考えているので読み物としても面白いです。
あと、学校に卸しているような教具も販売しています。私としてはとっても気になります。