娘が大きくなるとともに、部屋が狭くなってきました。そこで、自宅の持ち物を整理することにしました。で、白羽の矢をたてたのが、暗室機材。娘を出産してから全く手つかずの状態の品物。保管しているだけでも場所をとります。
学生時代は、よく暗室にこもっていました。好きが講じて卒業後は暗室機材をそろえて家で現像していました。気が付けば朝、、、みたいな日々が懐かしい。現像が好きなだけで、写真はヘタだしカメラの知識も素人レベルです。でも、あの白黒の世界にときめきを感じ、印画紙だけでなく、和紙やベニヤに現像したり、ピンホールカメラを作って遊んでいました。(アートエマルジョンは失敗ばかりでしたが)仕事でも、教室を真っ暗にして小学生対象にピンホールカメラのワークショップを行いました。写真に限らず、もともと、いろんな表現技法で子どもと遊ぶのが好きな性分なのです。
写真の現像は楽しい!将来、娘と一緒にできるかな~なんて思ってとっておいたのですが、、、、作業スペースがないのはもちろんのこと、保管場所さえない状況。さらに、デジタルカメラ全盛期の時代、使い終わった現像液も廃棄が困難です。趣味として暗室作業を続けることはハードルが高すぎました。
でも、捨てたくない。
未練たらたらの時にふと、ある段ボールに目がいきました。入っているのは、娘のおえかき作品群。産まれてから今まで描いてきたおえかきのほとんど全部を段ボールにまとめていました。もし、暗室機材を処分すればこの娘の作品がきちんと保管できる。。。そう思ったとき、心に決めました。
暗室機材を処分しよう!
子どもの作品なんてとっておいたらきりがないのは承知ですが、幼児期は絵が変化する時。今は爆発的に描きつづけているので、取捨選択はもう少しその勢いがおさまるのを待ちたかったのです。朝起きてトイレにいくより先にまずペンを持ち、夜も絵を描きながらテーブルで突っ伏して寝てしまうことがあるくらいおえかき好きの娘。そんな彼女の絵の変化は見届けたいと思いました。よく、「全部とってるの??アホやなー」と驚かれますが、子どもの絵が好きなんです。デジカメでもとっていますがやはり本物の絵を残したい。
こんなことも、聞いたことがあります。
爆発的に描く期間は、そんなに長くなく、段ボール数箱分で済むから幼児期の絵は保管できる
暗室機材と娘の絵を天秤にかけてみると、やっぱり娘の絵を残したい。その思いが強くなりました。
処分することに決めたとはいっても、やっぱり愛着のある引き延ばし機。粗大ゴミに出すのは気がひけます。そこで、引き取ってくれるカメラ機材店を探すのですが、見つからない。電話すると、「お値段がつけられないので廃棄処分した方がいいですよ。」の回答。確かに、ヨドバシカメラなどの大型カメラ店は、かつて地下が現像関係のパラダイスだったのに、現在ではかなり縮小されています。店舗によってはもうない???需要がないから仕方がないのですが、まさかこれほどデジカメorスマホに占拠される時代がくるとは思いませんでした。
最後に、だめもとでオークションに出したところ、なんと、とても良い値段で落札されました。大切にしていた引き伸ばし機、丁寧に説明したかいがありました。そして、まだまだ、現像を頑張っている方がいるんだと思うとうれしくなりました。
でも、発送した直後、、、、、
泣けて仕方がないのです。びえ~~んと泣きたいけれど、娘もいたのでこっそりしくしく泣きました。もう押し入れにしまって何年もたっていて忘れていたくせに、涙がとまりませんでした。どうして泣けたのかその時はよくわからなかったのですが、今その時の気持ちを整理すると、、、
もう現像できないんだ
、、、、そんな生活はできないから
もう現像できないんだ
、、、、フィルムの時代は終わったから
そんなところでしょうか。
でも後悔はありません。私にとって、娘の絵は大切な宝物です。遊べるスペースが広がり、キキごっこも、音楽を聴いて踊りまくることもできます。友達が呼べる人数も増えました。
新しいものを迎え入れるには、今の自分に必要ないものを見極めてさようならをしなくてはいけないこと、分かっているのですが、、、思い出があるものとの別れは寂しい。
映画、マイレージマイライフのワンシーンにこんな場面があります。
バッグ一つで国中を旅する主人公が、「いろんなものをたくさん鞄にいれようとすると、重くて運べない。人生もそれと一緒」(セリフは微妙に違う気がしますがたしかこんな内容)
と、どや顔で講演する場面があります。
映画終盤では、その自信に揺らぎを感じるようになる主人公ですが、その場面がとても印象に残っています。主人公のようになりたいとは思いませんが、私はいろんなものを物質的にも精神的にも溜め込みすぎて身動きとれなくなってるかも。
マイレージマイライフ、また見たくなりました。
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このブログでは娘のことについて綴ってきましたが、思いのほか沸き上がる自分の感情が抑えられず衝動的に書きなぐったときの記事です。ボツ記事にしていたのですが、今回たまたま夏の写真が取り上げられたので、今ならupできそうな気がしました。