Eテレ『デザインあ』では、いろんな作家が関わっていらっしゃいます。デザイナー、メディアアーティスト、アニメーション作家、、、、。書き出したらきりがない。アート好きな人にとっては、自分の好きな作家さんを見つける見本市のようなものです。
この展覧会に参加しているすべての方々さんの作品は、子どもたちにもっと見せたいと思うものばかりですが、今回は数人に絞って「デザインあ」以外での活躍の様子など紹介したいと思います。
パーフェクトロン
まずは、なんといっても、パーフェクトロン!!この記事を書くきっかけになったユニットです。
展示作品通して、「私この作品好きだな~」と思うものすべてにこの作家さん制作しているものでした。
そして、調べてみると、
パーフェクトロン(perfektron)とは?
クワクボリョウタと山口レイコによる生活と実験のためのアート・ユニット.
2005年と2006年にGalerie Lucy Mackintosh(ローザンヌ,スイス)で個展「Studies for the Consumption」,「COCOSOCOASOCO」を開催.
ICCでは,2006年のオープン・スペースで《onebuttongame》シリーズを出品.
クワクボリョウタ? クワクボリョウタ!? あれ、もしかして、、、
私が大好きだった作品の作家さんのクワクボリョウタさん!!!
『10番目の感傷』*1の作家さんだ~!!!
自分の好きだった作品が作家さんを通してつながり、一人で興奮してしまいました。
クワクボリョウタさんの作品
動画を紹介しますが、これ、多分見てもその面白さと感動は伝わりません。影が会場いっぱいに広がる臨場感は、体感しないとゾクゾクしません。
娘が3歳の時に一緒に行った展覧会で、親子でずっと見つめていました。おもちゃの電車が高性能なライトを蓄えて、身近な「もの」で囲まれた夜の街をのんびりゆっくり走ります。すると、身近な「もの」が作り出す影が思いもよらぬ不思議な世界へ観客をいざないます。
この作品が展示されていたのは『ワンダフルワールド~こどものワクワク、いっしょにたのしもう みす・はなす・そして発見!』(in現代美術館2014)。夏休みに開催されていた赤ちゃんから大人まで楽しめることをコンセプトにした展覧会です。 子どもの感情を揺り動かしワクワクさせてくれる作家さんで、この作家さんの作品をまた見たいな~と思いつつも子育てにおわれ、忘れていました。
山口レイコさんも子ども向けアニメーションを作られたり親子創作グループなどで活躍されています。
これからもチェックしていきたいユニットです。
《どうにか間に合わせること》《かたちの擦り合わせ》《のこりのかたち》のコーナー*2
■「デザインあ展inTOKYO」作品
《つめられたもの》《たまごの変身》《梅干しのきもち》《目には「め」を歯には「は」を》《全国名字かずくらべ》《しくみの観察》《しくみ寿司》《歯車になる》
plaplax (プラプラックス)
デザインあ展inTOKYO
— wanico (@wanico3) 2018年7月30日
『くうかんパラメーター』(plaplax+斎藤雄介+赤川智洋+小楠竜也)
空間の違いをじっくり遊んでいろいろ考えたくなる、が、後ろの列が気になってできなかった。もう一回行きたい。#デザインあ展 #デザインあ #日本科学未来館#plaplax pic.twitter.com/rg0fp29e0b
”概念のへや”で、童心になった気分に浸って遊んだのが、このplaplaxの作品でした。
plaplax(プラプラックス)とは?
近森基、久納鏡子、筧康明を中心に設立。主にインタラクティブアート分野における作品制作を手がける。作品制作で培った技術やセンスを活かし、公共空間、商業スペースやイベント等での空間演出や装置・コンテンツ制作、プロダクトデザイン、大学や企業と共同での技術開発など幅広く活動している。
すごく気になるアーティストだったので過去の作品を探してみたら、、、やっぱり面白い。
plaplax過去の作品
▼これは、アート教育に携わる人にはぜひ見てほしい動画です。
特に、《イシムシの標本》という作品が面白いです。会場に無造作に置かれている石を、”スキャンする装置の引出し”に入れるとスクリーンに”観客の世界”では見ることのできなかった不思議な”石の生態”を感じることができます。
”何気ない”石”一つ一つに、個性をもった命が実は吹き込まれている”という想像力が働きます。これ、実際にやってみたいな~。ありふれた石を仰々しく引出しに”ことっ”て入れる音、重さを感じる感覚、映像で見るだけですが、すごーく興味がかきたてられます。石を集めるのが大好きだった幼い頃の自分の記憶が蘇ります。
▼他の作品を見たい方はこちらへ
つみき寿司
そして、またもや偶然の出会い。
それは、、、つみき寿司
飛騨の美しい木でできたお寿司の積み木おもちゃです。娘が小さい頃、どこかで遊ばせてもらった気がするのですが、思いだせない。トリコロールカラーの魚のネタが特徴的で、カッコいいな~と思っていました。値段を見てびっくり。やっぱり高級品ですね。Amazonなどでは販売しておらず、直接プラプラックスのHPから購入することになります。支払いは、今のところ代引きだけのようです。ケチな性格で、自分で買う勇気はありませんが、アート好きな友人に赤ちゃんが誕生したらこれを送ってあげたい。
▼つみき寿司商品紹介ページ(ppx)
http://www.plaplax.com/shop/tsumiki/sushi.html
▼飛騨の木で作られた高級品です。制作秘話などこちらで読むことができます。
いわさきちひろ生誕100年《Life展》
今年(2018年)、いわさきちひろ生誕100年を記念して、いろいろな場所で様々な企画が実施されています。そのうちの一つとして、plaplaxが手掛けた《Life展》がちひろ美術館で開催されています。デザインあ展と並行して別の展覧会を開催させるなんてすごいですね。
ちひろさんが子どもを描くとき、卓越した観察者(あるいは母親)の目線で「あそび」の躍動感を捉えている、と同時に、自身のなかの子ども(特に少女のころの記憶)がいっしょになってあそんでいる。絵のなかでいっぱいに身体を使ってあそんでいる子どもたちと、それを描きながら頭のなかで自由にあそんでいるちひろさん、そして来館したみなさんが、一体となってあそべる空間。そんな展覧会を目一杯あそびながらつくってみたいと思っています。
(作家からのメッセージよりあそぶ / Life展 / いわさきちひろ生誕100年)
▼展覧会レポート
こどもの遊び心を作品にするプラプラックスだからこそ、感じることができる展覧会だと思います。行きたいのですが、遠い。ぜひ、お近くの方足を運んでみてください。
ただ、
確か、ちひろ美術館は大きな会場ではないので、デザインあ展ほどの充実感はないと思います。そのかわり未来館ほどの混雑はなくゆったり見られるのではないかと想像していますが、、、、どうでしょう。デザインあ展の影響でちひろ美術館も脚光を浴びることになるのかもしれません。
プラプラックス。これから、チェックし続けたいアーティストです。
《くりかえし》《しまう》*3
■「デザインあ展inTOKYO」参加作品
《いれもの二十面相》《なかみのかたち》《器のモンタージュ》《アン・ドゥ・トロワ》《○回の動作》《くうかんの入り口》《ト~~イレ》《ひと ひと ひと》《あかるさいろいろ》《くうかんパラメーター》《とおい「あ」ちかい「あ」》
岡崎智弘
岡崎智弘さんと言えば、
岡崎智弘さんとは?
「デザインあ」と言ったら、これ!と思うくらい、「デザインあ」を代表とする「解散」のコーナーを担当している方です。第1回から続いている看板コーナーです。
岡崎さんの作品って、プっと笑えるユーモアのセンスがツボなんです。「解散」も、回数を重ねるごとにそのユーモアに磨きがかかっているように感じます。
▼こちらの、HPのアニメーション見てると私もアニメーション作りたくなります。解散とは違う、ストップモーション・アニメーション*4が楽しい。ただ、スマホからは見られないのが残念。
驚愕のアニメーション
「デザインあ」に登場する作家さんをチェックすると、感動的な作品に出会うことがよくあります。
▼その代表格がこれ。
1/100 SHIBUYA Crossing
狂ってる。。。。(いい意味で)
アニメのモッブシーン*5ですよ!!
「解散」のように、数個の”もの”を動かすのではなく、大量の”もの”を一気に動かすアニメです。気の遠くなる作業で眩暈がします。「解散」だって根気のいる作業なのに、渋谷のスクランブル交差点を再現するなんて狂気の沙汰。この作品は、20人くらいのスタッフで作り上げていらっしゃいますが、どれだけ時間がかかったんだろう。紙が動いているとは思えない圧巻の動画です。ちなみに、動かしているものはTERADAMOKEIの1/100建築模型用添景セットこれはこれで面白い。
▼こんな才能ってどこから溢れてくるんだろうとため息が出るような作品これ。
好き嫌いが分かれる作品かもしれませんが、私はうっとり眺めてしまいます。
オノマトペをテーマとして昇華させた製品群のイメージをもとに、
人の感覚を言語化したオノマトペと、同じく人の感覚を可視化するともいえるアニマ(動きの生命力)とを組み合わせる様式で
様々なオノマトペを採集、映像標本化し空間にて展開します。
ISSEI MIYAKEのテキスタイルをこんな方法であらわすなんて、素晴らしいとしか言いようがありません。2018年のJAGDA賞を受賞されています。どうやったらこんな作品にたどり着くのでしょう。思考のプロセスが知りたいです。
■Eテレ デザイン「あ」
《素材と身体》《あの解散》*6
■「デザインあ展inTOKYO」参加作品
《抽象度のオブジェ》《マークをつくる》《解散!》《はやい「あ」》《おそい「あ」》《じかん模型》
実は面白い「あブログ」
「デザインあ」の制作秘話などを、クリエーターの方々が不定期で書いています。これが面白い。
例えば、野村律子さん。「(ピアノの音),,,,,,,,,,,あ,,,,,,,,,,」という短い音楽とともに現れる「あ」の映像を作っている方だと思うんですが、面白い。私もやってみたくなります。「デザインあ展」では、《あの手この手》をつくられた方ですね。
阿部洋介 さんは、「デッサンあ」の裏話を書いています。へー、そうだったんだ~という発見があり、より「デザインあ」を見るのが楽しくなりました。
子どもにつられ、Eテレ「デザインあ」をよく知らないまま展覧会に行かれる方、行ってしまった方、ぜひ一度ご覧になるとさらに違う見方ができると思います。
おわりに
「デザインあ」は、子育てする中でどうアート教育を取り入れていくかを考える大きなヒントがたくさん詰まっていて、私の興味対象のど真ん中。なんのためにこんなにダラダラかいているのかもはや分からなくなってしまいましたがとまらない。それほど面白かった展覧会、それほど優秀なクリエーターの方が多数参加している展覧会だと解釈してもらえたら嬉しいです。
「デザインあ」に参加したクリエーターの展覧会、これからもチェックしていきたいと思います。
まだまだ紹介したいアーティストはたくさんいるのですが、長くなりすぎました。今後、その時の気分で少しずつ小出しに書いていきたいと思います。
関連過去記事
中村勇吾・小山田圭吾に関連して
展覧会ディレクターの中村勇吾さん・小山田圭吾さんについてはこの記事で触れました。
この「AUDIO ARCHITECTURE:音のアーキテクチャ展」
六本木21_21DESIGN SIGHTで10月14日まで開催されています。「デザインあ」のチケット半券(入場券)で、このアーキテクチャ展は100円引きになります。
「デザインあ展inTOKYO」レビュー記事
【デザインあ展inTOKYOレビュー】”体感の部屋”で感じたこと