娘が幼いころから美術館に足を運んできましたが、自分がストレスが少ないであろう会場や展覧会を選んで見に行きました。娘や周りの観客が嫌な思いをすると、ゆっくり鑑賞できないし自分も楽しくないので。
子どもが小さいうちは、体験型の展示が多い現代アートを狙い、静かに鑑賞する展覧会は避けてきました。なので、落ち着いた作品が多い上野の美術館はハードルが高いと思って、あまり娘を連れて行っていないのです。
そんな中、救世主が現れました。
井上涼さん
びじゅチューン!とは?
世界の美術を井上涼オリジナルソングとともにアニメで面白可笑しく紹介する番組です。もちろん、アニメも井上涼さんの自作。
以前、このブログでも紹介しましたが、親子で大好き。
「これって何?」という興味を子どもの胸に強烈に刻ませてくれます。ある意味、”運命の出会いの種”をまいてもらっているようなものです。今は、作者や歴史的な価値など全く知らなくても、子どもが大きくなって作品と再会した時、「あ、あの時びじゅチューンで見たやつだ」って作品により興味をもてたら子どもの世界が広がるかな~なんていう期待を抱いています。
そんな「びじゅチューン!」がトーハク(東京国立博物館)にやってきたから、行かないわけにはいかない。
東京国立博物館とは?
トーハクなんて、子連れで連れていくには最も縁遠い場所だと思っていました。日本の重要文化財がずらりの博物館です。企画展の傾向から考えても、子どもを連れていきにくく感じていたのです。静かにしなくてはならないし、触っちゃいけないし、歴史的背景を知らないと子どもは楽しめないんじゃないかと感じていましたし、トーハクの作品は小さい子に無理してまで連れていくほどではないと思っていました。
しかし、今回は、
「親と子のギャラリー トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館」
これなら娘を連れて行けます。
よくよく調べてみると、毎年「夏休み子ども向けギャラリー」はやっていたのですが、トーハクというだけで、最初から諦めていてチェックもしていませんでした。
▼トーハク行く前には、この動画を娘に見せました。トーハクってどんなところか、3分でなんとなく分かります。
ちなみに、この東京国立博物館は、細田守監督の時をかける少女の魔女おばさんが働く博物館のモデルになった場所です。
展示概要
会 期:2018年7月24日(火) ~9月9日(日)
会 場 :東京国立博物館 本館特別4室・5室
開館時間: 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜・土曜は21:00まで、日曜は18:00まで開館)
休館日: 月曜日(ただし8月13日(月)は開館)
観覧料金: 一般620円、大学生410円
* 障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
* 子ども(高校生以下および満18歳未満)と一緒に来館した方(子ども1名につき同伴者2名まで)は、団体料金で観覧できます。
* 特別展「縄文―1万年の美の鼓動」(2018年7月3日(火)~2018年9月2日(日)、平成館 特別展示室)は別途観覧料が必要です。ただし中学生以下は無料。
あと少しで終わりですね。ぜひ、この展覧会も巡回してくれたらいいのにと思います。
なりきり美術館の様子
▼まずは、見返り美人が見返りながら出迎えてくれます。
体感!ザブーンドプーン北斎
家族で一番盛り上がったのがこれ。「みんなの声で波が高くなるよ!」と画面に書いてあります。
▼画面右側にマイクがあって、叫びます。「ふじさーん!!」
▼すると、声の大きさに合わせて、大波・中波・小波判定をしてくれます。
叫んだあとは、他の方が叫ぶ富士山の声を聴きながら、船に乗って、北斎の絵に入り込みました。子どもだけでなく、大人もワクワクします。無駄にでかく見えたスクリーンですが、北斎の絵を実際の波の大きさに近づけて体感するという意味では、これくらいないとダメなんでしょうね。娘は、最初頑張って叫んでも中波。。。そこで、私も張り切って娘とともに叫んできました。「ふじさぁーーーーん」
#東京国立博物館 で、富士山を叫んできた。今まで子連れで東京国立博物館なんて無理だと思ってた。これなら行ける‼
— wanico (@wanico3) 2018年8月27日
子どもも大人も楽しい体験型展覧会#びじゅチューン #なりきり日本美術館 pic.twitter.com/WR3iviIXej
【参考】びじゅチューンのアニメ ザパーンドプーンLOVE
雨は愛すがどう描く?
これは贅沢な体験です。雨が降っている絵の中で、版画体験ができます。
▼スタンプ台があって、順番にハンコを押していくと、歌川広重の「大はしあたけの夕立」が出来上がります。
- 雲
- 小雨
- 大雨
▼この3つを重ねると、こうなります。
はがきになっているので、作られた作品をポストに投函もできてちょっとテンションが上がります。友達や祖父母に送るのもいいですね。スタンプを押すだけで作品が作れるって楽しい。もっとこういうコーナーがいろんな美術館であればいいのにって思います。
▼そして、木版画の刷り行程が順に展示されています。
こういうの大好きなんです。江戸東京博物館にも似たような展示がありますが、何度見ても新しい発見があります。小1の娘はスルーでしたが、図工で木版画を行う年齢だとまた見方も違うんじゃないかなと思います。
見返らなくてもほぼ美人
画面上でポーズをとると、モニターの見返り美人ちゃんが動きに合わせてくれます。
娘の姿をweb上にアップする勇気がなく、写真&動画がありません。
井上涼さん自ら紹介している動画を、代わりにお届けします。
トーハクこと東京国立博物館@TNM_PR では「なりきり日本美術館」がやっております。東京は晴れていて暑いのでお気をつけて〜! pic.twitter.com/NR9AYXor6a
— 井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) August 23, 2018
娘に限らず、大人も子供もこの画面の前でいろんなポーズをとり、長い時間楽しんでいました。演じる方は画面を見ていて気づいていないのですが、見られていることを忘れている子どもたちの動きって面白いですね。
【参考】びじゅチューンのアニメ 見返りすぎてほぼドリル
洛中洛外グルメチェック
会場内にどどーーんと、洛中洛外図屏風のレプリカがあります。
屏風にはいろんなグルメが登場しているので、それを探してみよう!という、ウォーリーを探せ的な企画です。これも、よい写真がとれなかったので、井上涼さんのTwitterから紹介させてもらいます。
そして東京国立博物館@TNM_PRでは「びじゅチューン!」とのコラボ展示「なりきり日本美術館」が開催中〜。原寸大の洛中洛外図屏風のレプリカの中からアニメに出て来た場面も探してみてね〜 pic.twitter.com/W3x5DLEeWP
— 井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) August 5, 2018
▼ まず、こちらの動画で予習してから作品を見た方が楽しめます。DJみそしるとMCごはんさんが登場していていつもとちょっと味付けが違うアニメになっています。これ好きだな~。
子どもより、夫が夢中になって作品を見ていました。残念ながら、娘は麗子パフォーマーに夢中になってしまい、こちらの作品の滞在時間はとっても短かったです。
顔パフォーマー麗子
家族で一番ゲラゲラ笑ったのがこれ。
▼画面の前に立ち、写真を撮ります。
▼撮った写真を編集中、、、、
▼できたのがこれ。全然娘っぽくない~。パーツを見れば娘なのに全体を見ると娘でなく、麗子っぽく変身しています。
▼写真がとれたら、麗子の気持ちを言葉にして表します。
▼すると、画面左の額パネルに完成作品が映し出されます。
最後、横に並んで記念写真を撮りました。
いつも見ている顔とは違う自分に娘は大笑い。私も夫も、つられて大笑い。なんてことのないいたずらなんですが、楽しい。
前髪がある場合は、おでこを出して写真を撮った方がうまくできますよ。
その他
展示が作品を見終わった後は、映像コーナーで過去作品を見ながら休憩できるスペースがありました。
そして、なりきり日本美術館の会場からは少し離れるのですが、同じ時期に開催されている縄文展の出口辺りにこんな作品も展示されています。
そして東京国立博物館@TNM_PR では「なりきり日本美術館」展がやっております。
— 井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) July 31, 2018
展覧会に合わせてさわれる縄文土器のレプリカも設置されているよ。優しくさわってみてくださいね〜〜 pic.twitter.com/LVpw3kbwhK
これ、帰ってから気が付いた。
娘が縄文先生が大好きでリピートして見ていただけにショックでした。会場からは結構離れているので地図をぜひチェックして行ってみてください。
本物に出会うには?
びじゅチューンに登場した本物の作品も館内で展示されています。
【本館18室】
富嶽三十六景・神奈川沖浪裏 (8/19まで)終わってた。
名所江戸百景・大はしあたけの夕立(9/9まで)
麗子微笑(9/9まで)
【本館1室】火焔型土器(12/9まで)
【本館9室】能面小面「出目満昆」焼印(10/14まで)
行きたかったのですが、時間がなく行けませんでした。もうっちょっと早く入館した方が良かったかな。
トーハクのミュジーアムショップ
鑑賞も終わり、さあ帰ろうと思ったら、少し子どもが楽しめる場所があったので紹介します。ミュージアムショップ入口にこんなスペースがありました。
▼ハニワくんの顔出しパネルや。
▼風神雷神の「のぞき目?」パネル
▼会場内のタイルで構内図を表す地図。さすが、国立博物館。タイル一つ一つとっても、ぐっときます。色や質感が上品で思わず見とれてしまいました。
▼ハンコが置いてあって、素敵なはがきを一人一枚ずつ作ることができます。鳥獣戯画のスタンプや、日本の紋のようなものもあり、子どもたちが楽しそうでスタンプをしていました。
こういう、子どもがちょっと息抜きできるスペースがあると、親としては本当に助かります。子どもをここで休ませている間に、大人はミュジーアムショップでゆっくりお買い物なんてこともできます。我が家は母・父交替で、ショップに行ってきました。
▼でも、何といっても魅力はスロープ奥の本棚。普通の本屋さんではなかなか出会えない専門書に触れることができます。もっとじっくり見たかったな。
▼地下一階トイレ付近の休憩スペースにはこんなフォトコーナーが。
1枚500円。節約主婦としてはイタイ出費なのでガマンしました。
が、さすが井上涼さん!こちらについてもぬかりなく紹介していらっしゃいます。
トーハク@TNM_PR での「なりきり日本美術館」はあと2週間ちょっと!
— 井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) August 26, 2018
展示とは関係ないけど、本館地下1階の自動販売機のところにある写真撮れるやつ(有料)がオススメです。
いろんな絵に無理やり自分の写真を合成してくれます〜。 pic.twitter.com/EroiDDfayN
そうなんです、トーハクある有名作品と自分の作品を無理やり合成してくれるんです。
このTwitter見たらやっとけばよかったと後悔しました。次に行くときこそは!
混み具合
混むことを想定して、日曜日16:30に入館しました。日曜日のみ18:00まで開館しているので閉館間近の滑り込み入場作戦です。並ぶことなくスムースに会場に入り楽しむことができました。会場自体はそれほど大きくないので、1時間でかなり楽しめました。しかし、これから二週間はどうでしょう。会期終了間近はどの展覧会も混むので予想が付きません。
トーハクで開催している縄文展がわりと混んでいるので、チケット売り場も並ぶことが予想されます。
おわりに
トーハクは、建物そのものが魅力的で、私にとってはとてもいい気分転換になりました。日本館は1938年に開館した風格漂う建築様式は素敵です。子どもがいるとなかなか行けないものですが、そのきっかけを作ってくれたこの企画展は本当にありがたい。
見るだけでなく、
叫び、
作り、
体を動かし、
写真を撮り、
文字を書く、
想像以上に体験的な楽しい展覧会でした。
びじゅチューンを知らなくても、楽しめる展覧会です。これなら、イヤイヤ期の時でも連れて行けました。上野まで連れていけるかどうかはの問題はありますが、電車・トイレ・体力さえクリアできれば、展覧会自体は未就学・未就園児でも連れて行けそうです。
子連れでトーハクはあり得ないと思い込んでチェックすらしていなかったので、うれしかった。来年の夏もぜひいきいな~と思いました。
そして、東京だけでなくいろんなところにこの展覧会巡回すればいいのにと思います。せっかくNHKでやっている番組なんだから、主要都市で順に展覧会開催してほしいですね。
それにしても、公式「なりきり日本美術館」のサイトより、井上涼さんのTwitterの方が情報量が多く、ついついたくさん紹介してしましました。うまく撮れなかった私の写真より、分かりやすく魅力的に紹介していらっしゃいます。
井上涼 INOUE Ryo (@kitsutsukijanai) | Twitter
行かれる際には覗いてみてください。