こどものあそび観察日記

こどもの充実した時間とはなんぞや!?

全国の図書館&小学校においてほしい、想像力を育むバリアフリー絵本

面白い本を見つけました。 

これ、なあに? (さわる絵本)

これ、なあに? (さわる絵本)

 

たまたま病院の待合室に置いてあったこの絵本。

新しい感覚で娘に読み聞かせをすることができました。

 

ただし、二つ条件があります。

この本は、絶対読んであげなければなりません。

子どもは、目を閉じなくてはいけません。

じゃあ、何で楽しむかと言うと、触感と聴覚と想像力を働かせて楽しむのです。

簡単なあらすじ

ざらざらくんが、ぽつぽつちゃん、しましまくんとであい、バラバラくんを探しに行きます。どこにかくれているかというと~。。。。

このお話を聞き、登場人物や道を指で認識しながら物語を想像するのです。

この本では、目が見える私は、どれだけ視覚的情報に頼って生きていることを強く感じさせられます。目から入る情報をすべて取り除いて、物語を想像することができるってすごいことです。 耳から入る情報優位の絵本って意識しなければ見つけられません。偶然出会うことができて感激です。

 

そこで、今回はこの本についてレビューをしてみたいと思います。

バリアフリーを感じる絵本

ぐりとぐら」や、「こぐまちゃん」などの点字バージョンも販売されています。それらを体験したことはありましたが、目が見えない状態を想像することができなかったのです。言い方は悪いのですが、楽しめない。楽しめないから、思考がストップしてしまうのです。

ぐりとぐら」や「こぐまちゃん」の魅力的な絵をすでに知ってしまっているので、それを超える楽しさを目が見える私は味わうことができません。すると、目が見えない状態を頑張って想像しなくてはいけません。娘も、「ぐりとぐら」の点字絵本はすぐに飽きてしまいました。

ところが、この絵本は、最初から触角と耳から聞こえる情報だけで楽しむように作られています。そのため、目が見えないってこういうことなのかなってナチュラルに感じることができるのです。

想像力を育む絵本

シュタイナー教育では、素話という手法が使われます。絵本を使わず、先生たちが語り部となり、言葉だけで子どもたちを物語の世界にいざないます。

*そんな教材の一つとしておはなしのろうそく は有名ですね。

でも、私はそれに挑戦したのですが続けられませんでした。絵本という手掛かりがあるから読み聞かせができるのであって、てぶらで物語を語ることは難しかったです。物語を暗記したり、俳優のように演じることなど、ハードルが高すぎます。ですが、「言葉だけで物語のイメージを膨らませること」させてみたいな~というあこがれはありました。

この本は、そんな私の願いにぴったりです。バリアフリーを感じさせるという目的だけでなく、今まで当たり前に使っていた感覚をシャットアウトして、物語のイメージを広げることができるので、想像力を育む絵本としても優れていると思います。

難点は、子どもがうっすら目を開けてしまいそうなこと。販売する際に、アイマスク付きだと嬉しいです。

視覚に頼らず、誰でも楽しめる絵本

これ、なあに? (さわる絵本)をきっかけに、他にも視覚に頼らない絵本をもっと子どもに読ませてみたくなりました。そんな本をいくつか探してみました。備忘録がてら残しておきます。 

■中塚裕美子さんの絵本

バリアフリーえほん (1) さわってごらん だれのかお?

バリアフリーえほん (1) さわってごらん だれのかお?

 
バリアフリーえほん (2) サワッテゴラン ナンノハナ?

バリアフリーえほん (2) サワッテゴラン ナンノハナ?

 
バリアフリーえほん (3) さわってごらん いまなんじ?

バリアフリーえほん (3) さわってごらん いまなんじ?

 

図書館、本屋さんには頻繁に通っているつもりでしたが、全然知らなかった。しかも、見たことがありません。どこにあるんだろう。いつも見ている本棚と違うところにあるのかな。すごく面白そう。

▼こちらで詳しく紹介されています。

バリアフリーえほん - ことのはスケッチ

■村山純子さんの絵本

てんじつきさわるえほん さわるめいろ

てんじつきさわるえほん さわるめいろ

 
さわるめいろ2: てんじつき さわるえほん (てんじつきさわるえほん)

さわるめいろ2: てんじつき さわるえほん (てんじつきさわるえほん)

 

 目隠しをしてスイカわりをするようなワクワク感があります。小さい頃に、こんな指でなぞる難しい迷路に挑戦させたかった。

▼こちらで試し読みができます。色鮮やかなデザインに惹かれるのですが、この中で正しい道はただ一つ。それを指の触感を使って導き出します。物語を読むというよりは、触感を楽しむ絵本です。

村山純子 | 著者 | 小学館 

おわりに

いろいろ視覚に頼らない絵本を探しましたが、「これ、なあに?」が私は一番好きです。絵に頼らないで物語のイメージを膨らませ、触覚を研ぎ澄ませられる絵本って貴重なのかもしれません。

残念なことは、これらの本は高いこと。

欲しいな~と思いますが、本音を言えば購入するとなると迷う本です。

けれど、目が見えない世界ってどんなのだろう?という感覚を自然に感じる経験は子どもにとって重要です。視覚障がいという言葉を知る前に、目が見えない世界を感じ、その世界で生活する方々を想像することができたらな~と思います。

ぜひ、図書館や学校、幼稚園で購入し誰もが体験できるようにしてもらいたいです。目が見える子どもたちが多く集まる場所においてください。

そして、本1冊につきアイマスクも!

おまけ

バリアフリーという意味では、 この本も好き。

どんなかんじかなあ

どんなかんじかなあ

 

 最初、五感を感じる絵本なのかな?と予備知識なしに読みましたが、最後のオチがぐっときます。

こちらの記事でも紹介しました。

hipopocroco.hatenadiary.com

あと、これ。 

ルイ・ブライユ (コミック版世界の伝記)

ルイ・ブライユ (コミック版世界の伝記)

 

お恥ずかしながら知りませんでした。娘のおかげで児童書コーナーに足を運ぶようになりはじめて知りました。

点字を開発された方です。兵士が暗闇でも分かるように生み出した暗号文字を、目が見えない方でも素早く読めるよう改良し、実用的な文字へと完成させた偉人です。ヘレン・ケラールイ・ブライユは71歳違い。ヘレンと違い、目が見えないために社会的に隔離されて生きなければならなかった時代背景も描かれています。

伝記に興味をもつようになったお子様にはぜひぜひおすすめしたい漫画です。