こどものあそび観察日記

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1969年公開映画「長靴をはいた猫」が、2010年代生まれの子どもの興味を引き付ける理由

長靴をはいた猫 [DVD]

今回は、娘のことから離れて東映長靴をはいた猫」についてもう少し書きたいと思います。

公開された1969年に私は生まれていませんし、いつ・どこでみたのかも全く覚えていません。でも、最近「途中で寝ちゃって最後まで見られなかった(泣く)もう一回見たかったのに見られなかった」という気持ちだけ急によみがえってきたのです。「子育ては自分の生育歴をたどる旅だ」という方がいましたがほんとにそうですね。

何十年ぶりかに娘と見ましたが、やっぱり面白い!たいてい幼い頃の記憶は美化されていて、大きくなってから見ると色褪せていますが、これは面白い。

ところが、検索しても2011年のドリームワークスが作った「長靴をはいた猫」の映画情報の方が圧倒的に上。どうか、孫、ひ孫の代の子どもたちがこの映画を見られますようにという願いを込めて、この映画の面白さとすごさを書いてみたいと思います。

ストーリー

お話はシャルル・ペローのものとは、少し違います。特に、ラストのシーンは魔王と殺し屋と、長靴をはいた猫・ペロの仲間たちとのどたばたおいかけっこがコミカルに繰り広げられます。これが、娘にバカウケ。トムとジェリーやチップ&デイルを彷彿させる動きにゲラゲラ笑いつつ、魔王の持つどくろの秘密が明らかになるとハラハラドキドキさせられます。

よく見かける絵本では、長靴をはいた猫が知恵と機転を利かせて恵まれない青年を助けて、めでたしめでたしで話は終わります。けれど、映画では猫の機知にとんだ嘘で偽りの自分が作り上げられる青年の葛藤まで描かれています。

さらに、原作にはいない宿敵三人組の猫が登場しますが、これがストーリーのアクセントになっててついつい私も見入ってしまいました。

誰が脚本を書いたのかと思ったら、、、、

井上ひさし 山本護久

ええーーー!!!ビックリです。井上ひさしさんといったら、ひょっこりひょうたん島を書いた方。こまつ座の舞台も見たことがあったので驚きです。こまつ座のお芝居のように人間模様をするどく描くようなストーリーとは全く違うので本当に意外な気がしました。

山本護久さんは、今回調べるまで知らなかったのですが井上ひさしさんとともに様々な作品を作られています。

難点をあげるとしたら、、、

もともと、シャルル・ペローの物語がそうだから仕方がないのですが、現代の価値観では相容れない突っ込みどころ満載です。ストーリーをまともに追って味わおうとすると、えー!!って思ってしまうかもしれません。でも、この映画はコミカルな登場人物の動きをとにかく楽しむ映画だと思っています。

▼もう少し詳しいあらすじが知りたい方はこちらへ

長靴猫シリーズ - Wikipedia

音楽について

ということは、音楽はもちろん、宇野 誠一郎ひょっこりひょうたん島の音楽を作った方です。だから、オープニングの曲がすごくインパクトがあったんだと納得しました。

びっくりしたにゃ びっくりしたにゃ びっくりした びっくりした びっくりしたにゃ 

と耳に残る歌が娘は大好き。ずーっと歌っていました。

ギャグ監修

オープニングで流れるスタッフの名前をぼんやり眺めていたら、「ギャグ監修」というものがありました。ギャグ監修って何よ!と思わず突っ込みつつも慌てて名前をメモしました。

その名前は、中川弓彦さん

ん?聞き覚えがある。調べてみると、、、

なんと!!!!

小林信彦さんです。小林信彦 - Wikipedia

小林信彦さんといったら、とにかくすごい方。多岐にわたりご活躍されている方で、私が紹介すると手落ちがありそうなので、wikiから引用させていただきます。

一方、『世界の喜劇人』や『日本の喜劇人』などで初めて喜劇を本格的な評論の対象に採りあげた。『世界の喜劇人』の原型となった「喜劇映画の衰退」は、1961年に『映画評論』誌に掲載され、イデオロギー批評が全盛の当時に突如出現した異色の評論として多くの人々に衝撃を与えた。その後も『天才伝説 横山やすし』、『おかしな男 渥美清』、『植木等藤山寛美』など喜劇役者の評伝を執筆し、高く評価されている。

小林信彦 - Wikipediaより

確か、落語にも精通していらっしゃる方だったと思います。小林信彦さんの本は自宅にたくさんありますが、執筆されているものを見る限り子ども向けのアニメのお仕事をするような方とは到底思えなかったので、びっくりしました。

だから、ギャグっぽい登場人物の動きに娘がゲラゲラ笑っているんだと腑に落ちました。宿敵殺し屋ネコ3人組と長靴をはいた猫のペロの動きはほんとにおかしい。古臭いオープニングのシーンから娘の笑いと興味のツボをわしづかみにしていました。

ただ、こういうドタバタのギャグをゲラゲラ笑えるのは小学校低学年までかもしれません。思春期突入間近だと、そこまで笑えるかどうか分かりません。

娘が一番好きなキャラクター

なんといっても、宿敵殺し屋ネコの一番小さいちびネコ。もう、このネコちゃんのセリフとギャグが私も娘も大好き。ずーっと真似をしています。このネコちゃんの声優は特徴的な声で誰かな?と思ったら水森亜土さん 水森亜土 - Wikipedia

水森亜土さんといったら、こんなかわいいイラストを描いていらしゃる方です。現在はもうおばあちゃんです。イラストレーターのイメージの方が強かったのでこれもまた意外でした。

サンスター 2017年 カレンダー スクエア 水森亜土 壁掛け S8514909

 

水森亜土さんのおかげで、登場する猫ちゃんは宿敵なのに全然憎めないし、おもわず応援してしまいたくなる愛嬌のあるキャラです。ちなみに、ドラゴンボール孫悟空野沢雅子さんも、役どころは分かりませんが声優として参加しています。

娘にとって親しみのあるキャラクターデザイン

作画監督は、森康二さん。宮崎駿さんや、高畑勲さんの先輩にあたる方のようです。 

アニメーション制作に対する真摯な姿勢と誠実な人柄により、大塚康生高畑勲小田部羊一宮崎駿ら、数多くの後進に影響を与えてきた。その中には「アニメーションの神様」という最大限の表現をもって讃える関係者も少なくないという

森康二 - Wikipedia

東映のアニメなので、宮崎駿さんもかかわっているかな?と調べたら作画として参加していらっしゃいました。公開が1969年なので、おそらく20代後半くらいで息子さんが誕生された時期の作品だと思います。古い映画といえど、作品に登場するキャラクターに親しみが感じられるのは、ジブリの映画に見慣れているせいもあるのかもしれません。

モスクワ映画祭

モスクワ映画祭で「美術家同盟賞」・「児童にとり最も面白い映画賞」

この二つを同時に受賞されています。監督は矢吹公郎さん。1960年~1980年のヒットしたアニメ作品の多くを監督していらっしゃった方です。

調べれば調べるほど、この映画はすごい作品だったんだなと思いました。

今なら東映の公式YouTubeチャンネルで見られます

なんと、今なら東映アニメーション公式youtbeチャンネルで「長靴をはいた猫」を一気に80分間通してみることができます。すごい!!

追記:東映アニメーション創立60周年公式YouTubeチャンネルは、ありますが期間限定だった「長靴をはいた猫」の配信は終わってしまいました。

他にも、子育て世代の皆さんが幼い頃夢中で見たアニメが60周年を記念してたくさんYouTubeに公開されています。

そこで、公式チャンネルのトップを飾っていた作品をご紹介します。ご紹介した画像以外にも1960年代から2010年代までたくさんの作品があります。興味がある方はぜひご覧ください。ここでしか見られないアニメもあるかもしれませんよ。

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おわりに

調べていくうちに、井上ひさしさん、小林信彦さん、などなど予想外の方が製作にかかわっていることを知り、一人興奮してしまいこのブログのテーマを忘れて自分の好きな世界に浸ってしまいました。

この「長靴をはいた猫」は人気がある映画だとは思いますが、「トトロ」ほど有名ではありませんし、「パンダコパンダ」ほど取り上げられている映画ではありません。それに、突っ込みどころ満載です。でも、私はこの映画が大好きです。冒頭にも書いたように、難点はあるとしても、孫、ひ孫の代まで見られる作品であってほしいな~という願いを込めてだらだら書きました。

それにしても、、、、

幼少期にビデオが発達していなかった世代にとって、見たいのに見られない!!という渇望感は、現代の子どもの比ではないですよね。子どもの頃、見たいアニメを見逃したら一生見られないって本気で思っていましたから。今は録画すれば見られるしDVDだって動画配信サービスだってある。いろんな選択肢がたくさんあるって素晴らしい。逆に、娘の世代は膨大な作品の中から自分が見たいもの欲しいものを探す力が必要なのかなって思います。

夫の受け売りですが、自分が望む正確な情報がきちんと手に入れらるような言葉を紡ぎだして検索窓に入力できる子になってほしいなと思います。

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おまけ

 映画のおかげで娘はこの本も大好きです。 

長靴をはいた猫 (徳間アニメ絵本)

長靴をはいた猫 (徳間アニメ絵本)

 

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