娘が映画を見るようになったのは、4歳の時に見た「トトロ」が最初でした。そこからジブリ映画やディズニー映画に触れるようになりました。そんな娘の映画鑑賞事情ですが、一つ気になっていたことがあります。
CGのアニメに慣れたら手描きの古いアニメは見られなくなるのか?
自分が大人になり、好きに映画をレンタルして見られるようになった時、モノクロの映画を手にとるまで時間がかかりました。「ローマの休日」を見てからようやくその時代の映画作品への抵抗がなくなりましたが、それまで長かった。同じようなことが、子どもにも起きるのかな?という疑問があります。もし、絵を見ただけで、「この映画つまらない」とストーリーを追うことをあきらめてしまったらもったいない。そこで、「フルCG最盛期の時代に生まれた娘が、古いアニメをどう楽しむか?」をテーマに「古い映画をみてみようキャンペーン」を昨年親子でスタートさせ、ようやく1年たちました。いろんな作品をみることができたので、その映画に対して娘の反応をまとめてみたいと思います。
映画選出方法と評価基準などなど
映画選出方法
「古い」という言葉はあいまいですよね。フルCG初の映画作品が、ピクサーの「トイ・ストーリー」1995年。なんとなく、きりの良い1990年以前のものを「古い」と定義し選出しました。今回は、良い映画かどうかを選ぶというより、「古いアニメをどう楽しむか?」を検証してみたいと思うので、選出方法は適当です。私が面白そうと思うもの、絵が今の表現とは違うと感じるものを選出してみました。
*「トトロ」と「魔女の宅急便」は、それぞれ1988年と1989年なので今回の対象年代に入っています。でも、私が勝手にもっと新しいものと思いこんでいました。また、この二つは娘が映画をみるきっかけとなった超お気にいりものであり、”今まで触れていない”古い映画に挑戦するという趣旨とは違うと思い、今回のレビューには加えません。
評価基準
★★★★★
何度も繰り返し見て、ごっこ遊びの中に映画の影響が見られたもの
★★★★☆
繰り返し見なくても、ごっこ遊びの中に映画の影響が見られたもの
★★★☆☆
見ている間は楽しそうに過ごし、見終わった後にその映画について話題にするもの
★★☆☆☆
とりあえず最後までは見ることができた
★☆☆☆☆
最後まで見られなかった
娘の年齢
遊びながら面白い場面だけみるのではなく、最初から最後まで物語の世界に没頭できるようになった、4歳半‐5歳半までに見た映画について検証していきたいと思います。
これまでの娘のアニメ事情
見てきたアニメは、ズートピア、ミッフィー、トーマス(少し)、断片的にディズニーアニメなどなど。そして、アンパンマン はなかっぱ、ドラえもん、トトロ、魔女の宅急便、クレヨンしんちゃんなど。
二頭身、三頭身で描かれるようなアニメキャラが好き。ソフィアやアイカツも時々みますが、クレヨンしんちゃんやドラえもんの方が好きなんだそうです。そしてそのことは友達には内緒にしています。ディズニーのリアルな人物表現をどう見るかが楽しみでした。
年代について
年代とその年の主な出来事を載せました。その作品が作られた時代の雰囲気を想像すると映画の見方も違ったものになります。
***
これらのことを踏まえて娘の映画レビューをまとめてみました。
1.白雪姫1937年 ★★★★☆
プリンセス関連は一通り見せてみようと思って挑戦しました。お姫様系に古さは関係ないようです。喜んで見ていました。特に、7人の小人たちの動きが面白くてたまらないらしく、ゲラゲラ笑っていました。
2.ファンタジア1940年 ★☆☆☆☆
映像付きのクラッシク音楽鑑賞のようなこの映画。個人的にはすごく好きな映画です。でも、4歳は、ちょうど物語への興味や言葉への意識が高まったお年頃でした。そのせいか、言葉がないものは興味がもてないようでした。もしかしたら、1-3歳くらいの、まだ言葉が発達していないときに見せた方がより食いつきがよかったかもしれません。もし、子育てをもう一度できるなら、生まれて初めてみせるアニメはこれにしてみたい。どんな反応するか見てみたいです。ファンタジア (映画) - Wikipedia
3.ダンボ1941年 ★★★★☆
こんなにダンボの動きが愛らしいとは思いませんでした。動物の中でもぞうは全然興味がなかったのですが、オープニングのちっちゃいダンボの動きが「かわいい~」と言って真似をしていました。 ちょうど、お友達の妹や弟さんが可愛くてちょっかい出したいお年頃だったからかもしれません。娘は一人っ子ですが、今後赤ちゃんが誕生するようなことがあればもう一度見せたいと思います。(もうムリかな。。。)
4.バンビ1942年 ★★☆☆☆
やっぱり、動物の動きがたまらなくかわいい~。でも、ダンボほど夢中にはなりませんでした。その理由はいまいちわかりません。ストーリーがそこまで興味をもてなかったのかもしれません。
5.シンデレラ1950年 ★★★★★
不滅の名作ですね。何回も見ていました。ストーリーもさることながら、動物たちの動きが面白い。ビビデバビデブーのシーンや、ネズミさんが大活躍するシーンなど、身をのりだして見ていました。 友達と一緒にシンデレラごっこもして遊んでいました。ディズニー版以外のシンデレラの絵本も好んで読んでいます。
6.ふしぎの国のアリス1951年 ★★☆☆☆
- 上映時間:75分
- 1951年:第1回紅白歌合戦ラジオ放送で開催
シンデレラや白雪姫ほど喜んで見ませんでした。場面がどんどん変わるこの映画は娘にとって、ちょっと難しかったのかもしれません。小学生くらいになったらもう一回挑戦してみたいです。
7.わんわん物語1955年 ★★★☆☆
- 上映時間:76分
- 1955年:電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビが「三種の神器」と呼ばれる
可もなく不可もなくでした。見ている時間は楽しそうにしていましたが、名残惜しいということもなくあっさり見終えました。この作品も、もう少し大きいお子さんだと反応が違うかもしれません。娘は、コメディタッチの場面が多い方が好きなのかもしれません。大統領選挙でトランプ氏の名前をよく聞きましたが、娘はトランプというと、このワンワン物語のトランプのことを思い浮かべていました。
8.長靴をはいた猫1969年 ★★★★★
- 上映時間:80分
- 1969年:人類初の月面着陸 東大安田講堂事件/1964年からカラーテレビ普及し始める
作品全般を通して古さが感じられるのでどうかな?と思ったのですが、オープニングの「びっくりしたにゃ」の歌からもう夢中になって見続けました。何回もリピートしています。さらに、アニメブックまで見つけ、欲しいとねだられています。この映画は本当に面白かったので、後日もう少し詳しくまとめたいと思います。
9.パンダコパンダ1972年 ★★★★★
高畑勲&宮崎駿コンビで作られたこの作品。ずっと気になっていました。トトロが好きならきっと楽しめるに違いないと思い娘に見せました。今のジブリに慣れると背景がスカスカに感じますが、娘はそんなことお構いなし。ミミちゃんの真似をしてごっこ遊びをしています。 川上弘美さんがこの映画についてこんな文章を寄せています。
宮崎駿のかかわっている作品の中で、一番繰り返し見たのは(中略)実は本書のトトロでもない。それは『パンダコパンダ』である。次男が幼児だったころの「黙らせビデオ」のナンバーワンが、『パンダコパンダ』だったのだ。/川上弘美 ジブリの教科書3 となりのトトロ (文春ジブリ文庫) p232より
同感です。この映画は癖になります。娘も何回も見ました。トトロが好きなお子さんならきっと楽しめる映画です。
10.オリバーニューヨーク子猫ものがたり1988年 ★★☆☆☆
- 上映時間:73分
- 1988年:『ドラゴンクエストⅢ』が発売/「それいけ!アンパンマン」TV放映開始
原作はディゲンズの長編小説「オリバー・ツィスト」。何回も映画化・舞台化されています。主題歌はHuey Lewis。吹き替えには、Billy Joelも出演。80年代に活躍したアーティストが名を連ねていて、ディズニーの意気込みが感じられる映画です。大きくなった時、ミュージカル映画の「オリバー!」(1968年)を見てくれるかな、小説も読んでくれるかな~という淡い期待を抱いて見せてみましたが、娘にとっては面白いとは言えなかったようです。なんとか最後まで見終えたという感じでした。テーマがまだ難しかったのかもしれません。
レビューを振り返ってみて
古くても名作と呼ばれる映画はやっぱり面白い。娘も敏感に反応していました。また、娘の好きな二頭身、三頭身くらいのアニメキャラでない登場人物でも抵抗なく見ていました。となると、やっぱり、ストーリーがぐっとくるものなら、作られた年代やイラストデザイン問わず楽しめるのかなと思うようになりました。
ただ、アンパンマン以外のアニメが楽しいと思い始めた時と同時期に、この「古いアニメ映画をみてみよう」キャンペーンをスタートさせたので、アニメの固定観念が固まっていなかったせいもあるかもしれません。
冒頭に書いた私の疑問、
CGのアニメに慣れたら手描きの古いアニメは見られなくなるのか?
は、まだよくわかりません。逆に、娘はCGアニメの名作をたくさんみていません。
今の段階では、娘にとっては、アニメの高度な表現技術は絶対必要なものでもなさそうです。ただ、物語よりイラストデザイン重視のお子さんもいるはずなので、一般的にどうか?というのは分かりません。
子どもの好きなタイプのアニメや映画がどういう過程を経て固まっていくのかというのは個人的に興味があるのでこれからも引き続き記録していきたいと思います。
本当は、男の子の興味がどのように分化していくのはじっくり観察したいところです。電車や車などの乗り物系が好きなお子さんと、戦隊モノが好きなお子さんの好きなディズニー映画はなんだろう?とか。そもそも、どうして乗り物系と戦隊もの系に興味が分かれるのか本当に不思議です。でも、残念。じっくり観察できる対象がおりません。
それにしても、ディズニー映画のパッケージは、原画と違うタッチで描かれています。世界の多くの子どもには手書きの風合い残るアニメは敬遠されるのでしょうか。
おわりに
わが家には夫が掲げた家訓のようなものが一つあります。それは、
「ばっかりはダメ」
好きなものをなんでも見てもいいけど、そればっかりはダメ。いろんなアニメや漫画や絵本に触れて楽しい世界が広がればいいな~と思いますし、いろんな文化を受け入れられる子になってくれたらいいな~と思います。
それにしても、1940-50年代のディズニー映画は名作ぞろいですね。さすが、ハリウッド映画黄金時代。子育てが落ち着いたら1950年代の映画をゆっくり見てみたいものです。ああ、ビリー・ワイルダーの映画を久しぶりにみてみたい。最近だったら、「君の名は。」もみにいきたい。ムリかな~。
書き終えて読み返してみると、突っ込みどころ満載ですね。ボツ記事にしようかと思ったのですが、せっかく書いたし調べたし、お子さんをもつご家庭が映画を選ぶきっかけにもなるかもしれないと思い直し、公開することにしました。
おまけ
いろんな絵を受け入れられる子になってほしいという願いを込めて読み聞かせをしてきた記録。
5歳まで見てきたテレビ番組の記録。
Amazon FireTVも使っていますが、結局TSUTAYAに頼ることの方が多いです。1ヶ月借りてみるペースが今のところちょうどいい感じです。